相続放棄のために準備できることはありますか?

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2023年05月01日

相続放棄のために準備できることはありますか?

1 相続放棄が認められないケース

 相続放棄は、法律上、はじめから相続人ではなくなるという効果を持つ手続きです。

 被相続人の財産を一切取得することができない代わりに、負債も一切負わずに済みます。

 このような効果を有することの裏返しとして、相続をする意思の現れとされる行動をすることをしてしまいますと、相続放棄が認められなくなることがあります。

 これを法定単純承認事由に該当する行為といい、代表的なものとして、相続財産の処分があります。

 処分には、売却や廃棄、費消があります。

 相続財産である建物を取り壊したり、自動車を廃車することや、預貯金、現金を使用することはできません(一部例外があります)。

 

2 保存義務

 他方、相続放棄時に相続財産を占有していた相続人には、相続放棄をしてもその相続財産を保存する責任が生じます。

 これは、次の相続人、または相続財産清算人に引き渡すまでの間、相続財産が滅失等をしてしまわないように保存する責任です。

 この保存する責任の内容について、具体的には、財産を滅失させ、又は損傷する行為をしてはならないということと考えられています。

 

3 できる限り、被相続人となる方がご存命のうちに対策をする

 そこで、可能な限り、被相続人となる方がお亡くなりになる前に、本人の承諾を得て財産を整理、処分することが大切です。

 被相続人となる方が疎遠で、連絡の取りようがない場合などは仕方ありませんが、日ごろから被相続人となる方とお話をされていて、借金等の存在があることを聞かされていたり、被相続人となる方に相続放棄をするよう言われている場合には、準備を進めることができます。

 特に、使っていない建物と自動車がある場合は、ご存命のうちに処分をしてしまった方が、相続放棄を円滑に進めることができます。

 売却することも可能ですが、被相続人となる方に債務がある場合、債権者から詐害行為取消権を行使される可能性もあるため、注意が必要です。

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