相続放棄の落とし穴

弁護士法人心が選ばれる理由

被相続人が何年も前に亡くなっている場合

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2024年01月12日

1 相続放棄は理論上何年後でも可能

 

 相続放棄の期限は、原則として「相続の開始を知った日」から3か月です。

 被相続人の死亡日から3か月ではないという点が重要です。

 被相続人が死亡したこと、及びご自身が相続人であることを知らない限りは、被相続人が死亡していたとしても、期限の問題は生じません。

 また、被相続人が死亡してしばらく経った後に相続債務の存在を知ったというケースも考えられます。

 その場合、被相続人の財産状況を知ることが困難であった等の要件を満たしていれば、債務の存在を知った日を相続の開始を知った日と解釈し、その日から3か月以内に相続放棄の申述を行えばよいとされます。

 理論上は、相続の開始を知らない限りは、被相続人が死亡してから何年経っても、相続放棄はできることになります。

 

2 相続放棄には住民票除票または戸籍の附票が必要

 相続放棄の手続きをする際、裁判所へ提出する書類の一つに、住民票除票または戸籍の附票というものがあります。

 住民票除票または戸籍の附票は、被相続人の最後の住所地を公的に示した書類です。

 相続放棄の手続きを行う裁判所を確定させるためにも必要です。

 ところが、住民票除票と戸籍の附票は、被相続人死亡後5年を経過すると廃棄されてしまうことがあります。

 

3 住民票除票または戸籍の附票が手に入らない場合

 すでに廃棄されてしまっている場合、市町村等に対して住民票除票または戸籍の附票の請求をした際、すでに廃棄済みであるという連絡を受けます。

 住民票除票または戸籍の附票がないと、裁判所への提出書類が揃わないだけでなく、そもそもどの裁判所で相続放棄の手続きをするのか確定させることができません。

 このような場合、例外的な方法となりますが、死亡届の記載事項証明書というものを、被相続人の本籍地を管轄する法務局から取り寄せることになります。

 まず、被相続人死亡地(戸籍に記載があります)を管轄する裁判所へ連絡します。

 そして、住民票除票と戸籍の附票が廃棄されてしまっている旨を説明します。

 期限の問題があることから、取り急ぎ上記裁判所へ相続放棄申述書を提出することに同意してもらった上で、死亡届の記載事項証明書取得のための業務連絡書面を発行してもらうよう依頼します。

 その後、死亡届の記載事項証明書申請書や被相続人の除籍、相続人の戸籍、相続人の身分証、裁判所の業務連絡書面を揃えて、法務局へ発行依頼をします。

 死亡届の記載事項証明書の取得ができたら、裁判所へ追納することで、相続放棄の手続きを進めることができます。

被相続人死亡日から3か月以上経過していても相続放棄はできることがある

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2023年11月08日

1 相続放棄申述の期限は「相続の開始を知った日」から3か月

 相続放棄の期限は、被相続人の死亡日から3か月ではなく、「相続の開始を知った日」から3か月です。

 この期間のことを、熟慮期間と呼ぶこともあります。

 一般論として、被相続人が死亡したこと及び自身が相続人であることは、被相続人死亡日またはその日から数日後程度で知ると考えられます。

 しかし実際には、被相続人が死亡しても、しばらくの間そのことを知ることができないケースもあります。

 被相続人と非常に疎遠な関係にあった場合などが、これに該当します。

 このような場合に対応するため、相続放棄の期限は、相続の開始を知った日から3か月とされています。

 

2 被相続人死亡から3か月以上経過後に相続放棄をする場合

⑴ 裁判所へしっかり説明することが重要

 もっとも、多くの場合、被相続人が死亡したこと及び自身が相続人であることは、被相続人死亡日またはその日から数日後程度で分かります。

 そのため、被相続人死亡から3か月以上経過してから相続放棄をする場合、経緯や理由について、裁判所へしっかりと説明する必要があります。

 

⑵ 具体例

 典型的な例として、数十年前に両親が離婚し、離婚後没交渉となっていた方の親が亡くなり、その後しばらく経ってから市役所や債権者から親が亡くなったことを知らされた場合について考えてみます。

 このケースにおいては、市役所や債権者からの書面を読んで初めて、相続の開始を知ったことになります。

 そこでまず、市役所や債権者から送付されてきた書面等を読んだ日を以て、相続の開始を知った日とします。

 市役所や債権者からの書面には、通常日付が入っていますので、この日付と実際に読んだ日が離れている場合には、例えば長期出張で家を空けていた等、その事情も説明します。

 また、市役所や債権者からの書面のコピーも相続放棄申述書に添付します。

 

 次に、市役所や債権者からの書面を読むまで、被相続人が死亡したことを知ることができなかった理由を説明します。

 これについては、両親が数十年前に離婚して以来、被相続人とは一切連絡を取っていなかったということを説明するとともに、戸籍謄本類を用いて、ご両親が数十年前に離婚していることを示します。

相続放棄をしようとお考えの方へ

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2023年09月08日

1 相続放棄をしようと思う場面

 相続人の方が相続放棄をしようと思う場面は様々です。

 法律上、相続放棄をする理由は限定されていませんが、類型的には、相続放棄をしようと思う場面は、ある程度分けられます。

 多くの場合、被相続人に借金がある、被相続人やほかの相続人と関わりたくない、家業を継ぐ相続人に相続財産を集中させたい、というものです。

 抽象的な表現をすれば、ご自身が相続を放棄することで、何らかの形で利益を得る場合には、相続放棄をするという判断をすることになります。

 それぞれのケースについて、詳しくご説明いたします。

 

2 被相続人に借金がある場合

 より正確には、被相続人が有していたプラスの財産よりも負債(借金)の方が多い場合、特殊な事情がない限り、通常であれば相続放棄をした方が経済的にはメリットがあります。

 そのため、相続放棄をした方がよいということになります。

 また、被相続人に借金がある場合、相続人が把握している以外にも借金がある可能性が否めないということがあります。

 実際にはこのケースの方が多く、将来借金の返済を請求される度に対応するのは大変だという理由から、あらかじめ相続放棄をしておくという判断になります。

 

3 被相続人やほかの相続人と関わりたくない

 被相続人と疎遠で、ほとんど被相続人を取り巻く事情が分からない場合、被相続人のことを調査するだけでも大変な労力を費やすことになります。

 特に、被相続人が生活保護を受けていた場合などは、調査したとしても通常めぼしい財産は発見されません。

 また、何らかの事情により、被相続人や他の相続人と関係が悪化してしまい、家出等をしたまま没交渉になっているということもあります。

 このような場合、相続手続きに関与したことをきっかけに、トラブルになる可能性も考えられます。

 こうした不利益が生じることが予想される場合、相続放棄をするという選択肢を取ることになります。

 

4 家業を継ぐ相続人に相続財産を集中させたい

 風習や慣習などにより、地元に残って家業を継いだ相続人にすべての相続財産を集中させるということがあります。

 地元を離れ、今後戻る予定もないような場合、プラスの財産だけでなく、マイナスの負債も特定の相続人に集約させたいという場合には、相続放棄を選択することになります。

相続放棄で困った場合の相談先

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2024年03月11日

1 まずは専門家にご相談を

 結論から申し上げますと、相続放棄に関してお困りごとがある場合は、まずは専門家にご相談されることをおすすめします。

 理由は、手続きの期限が過ぎてしまったり、預貯金の解約などのやってはいけないことをしてしまったりすると、相続放棄ができなくなる可能性があるためです。

 相続放棄ができないと、被相続人が残した借金を背負うことにもなりかねません。

 なお、ネットの記事の中には、間違った情報が記載されていることもありますので、注意が必要です。

 

2 どの専門家がおすすめか

 相談先として、弁護士や司法書士、行政書士等、様々ありますが、おすすめは弁護士です。

 理由としては、相続放棄に関する全ての手続きを任せることができるのは、弁護士だけだからです。

 例えば、司法書士や行政書士は、裁判所に提出する書面を作成することはできますが、実際に裁判所に出すことや、裁判所からの対応に対しては、依頼者の方ご自身で行っていただく必要があります。

 他方、弁護士であれば、必要書類の取得、書面の作成、提出、裁判所からの対応すべてを任せられるため、安心です。

 なお、「弁護士に依頼すると費用が高くなる」と思われがちですが、実際にホームページ等で比較すると、弁護士に依頼した方が安い場合もあります。

 そのため、費用について、一度、それぞれのホームページ等で確認していただいた方がよいでしょう。

 

3 弁護士の決め方

 相続放棄を依頼する弁護士の決め方としては、まず、相続放棄を集中的に取り扱っている事務所かどうかを基準に探すのがよいでしょう。

 弁護士の中には、年に数件しか相続放棄の対応をしていない者もいますので、万が一のことを考えると、相続放棄を数多く扱っている事務所に依頼した方がよいといえます。

 また、依頼できる内容についても事務所によって違いがありますので、債権者対応や裁判所との対応、次の順位の相続人への対応などを幅広くサポートしてくれる事務所の方が安心です。

 当法人では、数多くの相続放棄案件をお受けした実績があり、相続放棄を得意とする弁護士が対応させていただいております。

 原則として相続放棄は無料相談となっておりますので、ご不明な点等がありましたら、お気軽にご連絡ください。

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(〇〇弁護士会所属)

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相続放棄の情報を掲載しています

当サイトは、岡崎にお住まいの方向けに相続放棄という手続きに関する情報を掲載しているサイトです。
相続放棄というのは、簡単にいえば「自分は一切相続をしない」という意思を示すための行為です。
相続放棄をする理由は様々ですが、例えば負債が大きい場合などに相続放棄を選択される方もいらっしゃいます。
相続放棄をするためには裁判所での手続きが必要となり、その手続きには期限もありますので注意が必要です。
また、様々な注意点もありますので、岡崎にお住まいで相続放棄をお考えの方は、一度当サイトをご覧いただくとともに、弁護士にご相談ください。
当法人では、相続案件を得意とする弁護士がご相談を承っています。
相続放棄の手続きはもちろん、相続放棄をするべきかどうかということについてもご相談をしていただけますので、お気軽にお問い合わせください。
原則として相談料無料という形で相続放棄のご相談をしていただくことができますので、まずはお悩みになっていること、疑問に思われていることなどを当法人の弁護士にご相談いただければと思います。
また、当法人では相続財産の調査も承っておりますので、必要に応じて調査をご依頼いただくことも可能です。
当法人はどの事務所もアクセスの良い場所にありますので、岡崎にお住まいの方にもお越しいただきやすいかと思います。
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